2016月10月5日記事
【判決】平成27年社労士試験 (A地裁)不合格取消請求訴訟
このような訴訟が全国で同時に行われたのは前代未聞の出来事です。
裁判は、全国数か所で進行中です。(労災・国年の補正)
原告の皆さんは、弁護士に一切頼ることなく、自ら、法令・判例を調べ、力を合わせ、「本人訴訟」でこの戦いに挑まれています。
先行していたTetさんの裁判で棄却判決が出ました。(残念です!)
判決「主文」
1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。
最高裁判決を根拠とする「却下」ではなく、
本件訴えは「法律上の争訟に当たる」と判断されています。
判決文を読んだ感想ですが、
① 事実認定に大きな問題があります。(中東の笛を思い起こしました。)
裁判官は被告の主張をすべて事実として捉えた上で、原告主張を判断しています。
事実として、被告の主張には多くの矛盾点があり信憑性に欠けていることは間違いありません。その内容については他の裁判が進行中ですので、ここでの説明は控えさせていただきます。
(追記)裁判における厚労省の「大きな嘘」
http://tktk00099.blog.jp/archives/3795021.html
② この判決文の中で、私が一番驚いたのは次の文面です。
「社労士試験においては、処分行政庁が受験者に対して合格者数及び合格率の決定理由を説明ないし告知しなければならないことを定める規定等の法令上の根拠は存しないことに加え、事前に目標合格者数等が掲げられておらず、処分行政庁において、合格者数及び合格率を過去におけると同様の一定の水準に維持すべき義務は存在せず、・・・・・・決定理由(具体的な科目の合格点数の設定理由を含む。)を受験者に対して説明ないし告知しなければならない義務があるとは解されないことから、処分行政庁が受験生に対して原告主張のように合格者数及び合格率の決定理由を説明・告知すべきとはいえない。」
要するに、
規定・法令の定めがなく、事前目標として掲げていないから、
合格率や合格者数などを過去と同様の水準に維持すべき義務はないし、その決定理由を受験生に説明・告知する義務はない。(合格基準の考え方も法令に定めはありません。)
「その決定理由を受験生に説明・告知する義務はない」
決定理由とは判断過程であり、それを公開する義務はない。受験生はそんなことまで知る権利はない。昔のように、パンドラの箱(合格基準の考え方)を閉めなさいとの判示であるとも解釈できます。
例えば
本年、労一の選択科目基準点が4点と突如発表されても、説明する義務は厚労省にないということになります。この裁判官によって、絶大な「お墨付き」をもらったことになります。
今後、
「合格基準の疑問点」について受験生が質問しても、○○裁判所で判示されたように定めがないから説明する必要はないと無視されるかもしれません。
「合格基準の考え方」を開示請求しても、○○裁判所で判示されたように定めがないから開示する必要はないと、今後は情報公開審査会の答申を無視するかもしれません。
数多くの受験生の疑問や思いに対して
総務省は管轄外であると逃げ、厚労省は無視を決め込み、司法はそれを後押しする・・・・・。
しかし、このような状況であっても裁判を起こされた方々は、怯むことなく、次の裁判に向け闘志を燃やされています。
2017年2月16日記事
【判決】平成27年社労士試験 (大阪・A・B地裁)不合格取消請求訴訟
最後の臨時記事として、裁判の判決についての所感を述べさせていただきます。
なお、ここで述べる内容は原告の方々の意見を代表しているのではなく、私個人の見解であることをご理解いただければと思います。
【判決について】棄却
主な争点は「裁量権の逸脱・濫用、考慮不尽、手続き瑕疵」について
司法の判断は、
「社会保険労務士法及び社会保険労務士法施行規則に定めがない事項については、すべて試験実施機関の広範な裁量権に委ねられる。」ともとれるものでした。
残念ですが、
以前の記事で私が懸念していた結果となりました。
(号外2)社労士試験 不合格取消請求訴訟 2016/09/18
(抜粋)
なお、この裁判は、今後の「国家試験のあり方」について重要な判例となると考えています。過去の不合格取消訴訟では、原告側からの証拠がこれほど多く提出されたことは一度もありません。その証拠によって、「事前説明もなく、合格基準を変更してきている」ことが明らかとなっています。また、被告は、過年度の合格基準が決定された際の判断過程を示す重要な「原案・修正案」は事務局判断で破棄しているから提出できないと考えられないような主張もしてきています。これらを含め、合否判定委員会が適正に行われたことの証明も今だ不十分なままです。
それにもかかわらず、仮に、最高裁の判例に沿った判決が下された場合、今後、国家試験といえども「実施機関の自由裁量が全面的に認められる」とのお墨付きを得たことになってしまいます。裁量について誰も制御できなくなります。
本年、事前説明もなしに、選択科目基準点は4点以上にする。となっても、誰も異議を唱えることはできません。異議を唱えても、厚労省は、「社労士法で具体的な基準を決めていないから、何ら問題はない」と裁判と同じ発言を繰り返すだけでしょう。その理由を問うても、「総合的に勘案して決めた」と抽象的な発言を繰り返すだけでしょう。(果たして、このような状態が正常といえるのでしょうか?)
(抜粋)
要するに、判決(A・B・大阪地裁より抜粋)は、「法」に定めがないから、
①合格基準の「決定理由」について、受験生への説明義務はない。
処分行政庁が受験者に対して合格者数及び合格率の決定理由を説明ないし告知しなければならないことを定める規定等の法令上の根拠は存しない。・・・・
受験生に対して原告主張のように合格者数及び合格率の決定理由を説明・告知すべきとはいえない。
②合格基準設定や合格率等、「過年度との整合性」は必要ない。
基準設定の「明白な矛盾点」も法的には問題ないと言うことになってしまいます。
「本件考え方」には本件試験以前に実施された社労士試験に係る「考え方」が本件試験に適用されるとの記載はなく、かつ、これを定めるかどうかや、本件合格基準のうち、本件科目の合格基準点を1点下げるかどうかもまた、処分行政庁の広範で専門的かつ技術的な裁量に委ねられているものと解される。(大いに疑問のある判示です)
【過去の合否判定 検証表】
http://tktk00099.blog.jp/archives/3795021.html
本件準則1(補正原則)は、上記「合格基準の考え方について」が該当。
本件準則2(追加補正原則)は、「(原案合格率)・平均点・得点分布・難化傾向・不合格者の割合・他年度比較)の6要件が該当。
社労士試験の合格基準の決定手続きについて、社労士法及び同法施行規則は何ら定めを置いておらず、いかなる手続きにより合格基準を決定するかは、厚生労働大臣の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられるものと解される。
原告はより詳細な判断過程が示されていないことをもって平成27年度合格基準の決定手続きが違法であると主張するが、判断過程を書面に残すことを求める根拠法令はなく、関係法令に基づかない独自の見解であって採用できない。
厚労省の虚偽の主張(合格基準策定における明らかな第3者の関与や合格率考慮の否定)等は裁判官の「自由心証」として、判決では完全に無視されていました。
厚労省の主張(弁明)が、虚偽であるかどうかは、次の記事をお読みいただき、良識の有る皆様にてご判断をしていただければと思います。
裁判における厚労省の「大きな嘘」
http://tktk00099.blog.jp/archives/3795021.html
「合否判定において、第3者関与の事実はない」
「合否判定委員会は適正に行われている」
「試験水準の維持とは合格率を一定に保つといった観点ではない」
「意図的に合格率を2.6%にした事実はない」
最後に、
現状、これらの判決が示すように、試験実施機関には「専門的・技術的」という名のもとに、絶対的とも言える、広範な裁量権が与えられているのであるなら、法に定めがなくても、「合格基準手続きを適正に行い、受験生に対して合格基準の理由説明を十分に果たすこと」が実施機関の正常な在り方であり、社会的責任であると考えます。
でなければ、社労士業界にとっては結果的にマイナスになると思われます。
「司法の場で裁かれないとしても、いつか世論の声に裁かれる」
そのような事態にならないことを切に願っています。
今後の社労士試験の改善と社労士業界の益々の繁栄と安泰を願っています。
TKTK
2017年09月11日記事
【最終報告】社労士試験(H27)不合格取消請求訴訟 結審
平成29年9月8日の大阪高裁にて、すべての訴訟(地裁4件・高裁2件)が結審となりました。
今回の控訴審判決も、残念ながら地裁判断に沿った内容(不当判決)のままであり不本意な結果となりましたが、大阪高裁の裁判官は今までの裁判官とは異なり、提訴した受験生の「心情」に理解を示していることが一抹の救いであると考えます。
①受験生の「心情」への理解があった。
「(判決文抜粋) 社労士試験の受験者として,過年度に比して平成27年度の合格者数が少ない(合格率が低い)という結果に不満を抱く心情は理解できないではないが,上記のとおり,それらの点について基準が定められているわけではなく,平成27年度の合格基準が定められた準則(社労士試験の考え方について)に反するものとはいえない以上,やむを得ないものといわざるを得ない。」
②追加補正の存在については、明確に「事実認定」された。
「(判決文抜粋) 確かに,上記準則の補正基準は「原則として」とされていることや,現に平成18年,20年,22年,(23年),25年度には,補正基準に該当しない追加補正が行われていることからすれば,補正基準は例外を許容するものであると考えられる。」
しかし、裁判官はこのように述べながらも、
平成27年度に、過年度と同等の諸条件(原案合格率・平均点・得点分布・難化傾向・不合格者の割合・他年度比較)の6要件が全て揃っているにも関わらず、追加補正(労災・国年)を行わなかった「不整合性」については、下記のように違法(裁量権範囲の逸脱)とは認められませんでした。TKTK
③裁量権の逸脱または違法なものということもできない
「(判決文抜粋) そして,基準として合格者数も合格率の下限も定められていないし,控訴人主張のような基準があることも認められない以上,平成27年度の合格基準を定めるに際して,一定の合格率に収めるなどのために例外処理(追加補正)をすべき義務があったとまではいえないから,例外処理(追加補正)をしなかったことをもって,裁量権の範囲を逸脱または違法なものということもできない。」
以上
